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建物の老朽化と建て替え問題

老朽化した建物

土地所有者の都合の場合

賃貸経営をする上で大きなリスクとなるのが建物の老朽化と建て替えの問題です。
賃貸用の住宅は所有権を持つ人ではなく、賃借人が占有して使用をしていくものとなるので、所有者や土地権利者が自分のために何からの管理処分を行おうとしてもすぐ自由にそれができるというわけではありません。

具体的には、建物が築年数をかなり経過して耐震性や防火性に問題があるので建て替えをしたいと思っても、中に賃借人がいる以上は自由にそれをすることができないというような場合です。

耐震性や防火性といった安全面についてならまだ賃借人の方も一定の理解を示してもらえるかもしれませんが、それが「土地が値上がりしてきて多くの人が移住してきそうだから、今の低層アパートを壊して高級マンションに建て替えたい」というような土地所有者の都合の場合にはなかなか立退きに応じてもらえないという可能性が高くなります。

同様に、それまでは遊休土地として利用してきたけれども、しばらくしたら子供が地元に戻ってくるのでその住宅建築用に土地を提供したいというような場合も現在居住中の人の了解なく勝手に行うことはできません。

利益の対立

この立退き問題は昔から賃貸人と賃借人の間で大きな対立になりがちな項目です。
なにせこれから自分の土地をよりよい方法に作り替えたいと思っている賃貸人と、古くから住んでいるので出て行きたくないと思う賃借人では利益が真っ向から対立してしまいます。

賃貸住宅に住んでいる人は年代や性別、職業なども全く違うのでまとめて説明をするのではなく一人ひとりに了解をとっていくという地道な作業が必要になってきます。

立退きをしぶしぶ承知するとしても、そのときに替わりに出される条件も入居者によっては違ってくることでしょう。
中にはかなり高額の立ち退き料金をふっかけてくるような人もいるかもしれません。

ですが、そうした立退き問題においては感情的になったり力任せに強引に物事を進めようとしてはいけません。
話し合いがこじれると相手も感情的になるので、内心では何らかの条件提示があれば受けてもよいと思っている話も、意固地になって絶対にどこにもいかないというように態度を硬化させてしまうことがあるためです。

賃貸経営をするときには、それを借りている相手の立場になりどのような説得方法なら納得をして出て行ってもらえるかということを考える必要があります。

自分の土地を自由に使えないというリスクはしっかり頭に入れておくべきでしょう。